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Duchamp du champ

日活映画雑記帳001

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アマプラ等での配信はランダムだし、何もかもが配信されてはいないから、体系的に観ていくわけにはいかない。ただ、それなりの数を観てさらに観返したり、データを調べたりしていくうちに、多少は俯瞰的に捉えられるようになった。後追いで気づくことも出てくるので、今後は雑記帳として思いついたままに記していくこととする。乱読ならぬ乱観のせいに年のせいもあって、13年前に観たのに忘れていた作品が多い、ということはいま再見したところで、またすぐに忘れてしまいそうではあるが。

日活といえばまずはアクションだが、当初からの柱として文芸映画があり、青春ものもアクションや文芸と重なりながら、ひとつのジャンルとして定着している。文芸映画といっても純文学から読物までその幅は広く、意外な佳作も少なくない。で、「しあわせはどこに」からの流れで、配信終了間近な三作。

それと、54年の製作再開から59年頃にアクション路線が確立するまで、いわば戦後第一期の日活映画は、監督も役者も寄せ集めだし、企画もまちまち。裕次郎やアキラやルリ子が台頭するまで、芯になる若手のスターは準主演級の三枝といづみさんくらいで、後は三橋達也・月岡夢路・三国連太郎など中年の俳優ばかり。年を追って、企画と監督、既成の俳優とニューフェース等の展開を見ていくと面白いのだが、そこまで沼にどっぷり浸かるかとなると…。

祈るひと/当時の結婚観とか女性の自立をテーマにした原作の映画化。偶然が過ぎる面はあるものの、フィクションとしてうまく組み立てられているし、滝沢英輔の手腕とバランスの取れた配役の妙で、いい感じに仕上がっている。

火の鳥/夢路は戦前の宝塚の大スターであって、歳がいってからの日活では大女優。スター性には欠けるが、貫祿は十分なので、「鷲と鷹」とか役次第で輝くものがある。ただ、これは年齢的に厳しいかな。仲代達也は夢路の進言で登用。俳優座だったこともあるのか、日活ではこれ一本きり。夢路の見立てどおり、後年の活躍を予言するかの如き名演で、何とも言えないイヤラシサが目を引く。

月触/裕次郎は、太陽族→やんちゃな線で梅次がテストしてみた程度か。裕次郎はアクションスターか?キャラ設定の流れについては、どこかで考察したい。

アラブの嵐/「これで飛行機が来たらアメリカ映画だな」の件しか印象に残っていないのもその筈。全盛期の61年クリスマス公開の正月映画で、長期エジプトロケ敢行云々とお金をかけているにも関わらず、大味で見どころのない作品だった。ラシュモアの向こうを張ってルクソール遺跡?らしいが、ヒッチのパロディにもなっていないし、ピラミッドやスフィンクスはともかく、カイロの観光案内なんて何のこっちゃだし、帝国軍と革命部隊の安っぽい対決もいい加減だし、中平康よ、何でこんなの作ったの?誰の発案?と思わざるを得なかった。

夜の牙/「野獣の青春」と同様、ネタが分かっていて観るとサスペンスのサスペンデッド性が希薄になって面白みに欠ける。まあ、梅次にしろ清順にしろに日活にしろ、一度観てもらえば良しで、二度三度の鑑賞は想定外なんだろう。ヒッチは何度観てもスゴイけど、プログラムピクチャーにそこまで求めてもとも思う。サスペンスじゃなければ、「東京の孤独」や「くたばれ悪党ども」のように繰り返し観られるけれど。白木マリが役にマッチしていないなと、今回はその程度。

拳銃無頼帖シリーズ4本/シリーズといっても、一貫性はない。前2本ルリ子・後2本笹森でもテイストが違うし。

月は上りぬ/まあ、ホンと斎藤高順の音楽をはじめ、サポーターのおかげとはいえ、山根寿子・杉葉子・北原三枝三姉妹のバランスがよく、男性陣も堅実だし、田中絹代は手堅くまとめている。日活映画かどうかはさておき、気持ちのいい佳作。結婚感とか古いのは事実だが、決して古くさくはなくて、小津さんが時代を超えて評価されるのも肯ける。三枝さんは声がいい。日活での作品のなかでもハマり役で、演技もベストではないだろうか。裕次郎とのコンビだと「風速40米」かな。

赤い波止場/舛田はペペ・ル・モコを下敷きにしたそうだ。ウーン?というより、裕次郎に殺し屋はそぐわない。まあ、この時期、戦争孤児でヤクザの親分拾われて…が定番なわけだが、ギャップがありすぎる。いくら根はまっとうと言ったところで、「男なら夢を見ろ」程度のワルがいいところだろう。

危険な商売 鉛をぶちこめ/エースのジョーを、アキラやトニーのカウンターパートから独立させるに当たり、キャラとストーリーをどう設定するか。ろくでなしシリーズとか早射ちウエスタンとか試行錯誤を経て、落ち着いたのがハードボイルド路線。公開順ではこの次が「くたばれ」で、比較してみると、構成が乱雑で中途半端な感じだ。ちなみに、ここでは中原早苗が歌手サリー、くたばれではナオミがサリー。ちょっとした遊びごころか。だけど早苗、意外に踊りがうまかった。

若い人/いろいろ観てきて、これをまた観て、何とも言えない違和感を覚えた。うーん、裕次郎-ルリ子のラインに小百合がハマらないのだ。原作が戦前で、石坂の旧いモラルを引きずったままて60年代に焼き直ししているのも中途半端。まあ裕次郎と小百合の本格的な共演は少ないし、合わないってことなんでしょう。この年62年、ルリ子22歳・小百合17歳。5年前「十七才」の少女ルリ子と比べて、女性として役者として何たる成長ぶり。ほぼ5年後・223歳の小百合・「嵐の勇者たち」のミニスカと比べると、実年齢がすべてではないけれど、違いは大きいなと。5060年代のルリ子は凄いのひとことで、60年代の小百合は幼いのひとこと。

黒の賭博師シリーズ/1本目と3本目が中平康、2本目が井田探。全体にくたびれた日活映画の印象だが、共演の冨士真奈美・弓恵子・広瀬みさの違いもあって、やはり軍配は中平に。

赤木圭一郎は生きている 激流に生きる男/これは別途、今戸栄治・荒牧金光の項目に記したい。


# by miwameme | 2023-12-30 22:49 | 日本映画

ディズニー100年・小津120年、はたまた梅次・清順100年

ディズニー100年・小津120年、はたまた梅次・清順100年_d0359670_19510204.jpg
今年2023年はウォルト・ディズニー・プロダクション設立100周年だそうである。
創業はその前だし、ミッキーの誕生?は後だし。
果たして29年にミッキー生誕100周年を祝うのだろうか?はたまたミッキーの著作権は?
ウォルトとロイのディズニーはせいぜい50年代後半までだし、
周年行事もいまいち盛り上がっていないようで、こっちはそんなものだろう。
そういえば、この間銀座に行ったら、和光の時計の文字盤にミッキーがあしらわれていた。
ちなみにワーナーブラザーズも100周年だって。

感慨深いのは、12月12日に小津さんの生誕120年を迎えたことだ。
還暦の還暦で二周り、ということになる。as time goes by.ですね。
中井喜一がテレビに出ていて、テロップに62歳と記されていて、これまたそうかと。
不朽の名作って、小津さんのためにある言葉じゃないかと感嘆するばかり。
しかし、無い物ねだりとわかっていても、せめて後3本くらいは…と思わずにいられない。
東京オリンピックを挟んで、高度成長期のTVが右肩上がりで映画が右肩下がりの時に、
小津の魔法遣いは何を描いたのだろう。秋刀魚の味の次は大根と人参だが、
さらにその先のホームドラマの景色を見せてほしかった。
結局、大阪万博があって、行き着く先が2021東京オリンピック・2025大阪万博とすれば
この60年間、何の変わりもなかったに等しいのだから。

でまあ、梅次と清順とおまけでハチ公も1923年生まれ。
何かと商売絡みのイベントが組まれているようだが、梅次はもっと評価されて然るべきだと思う。
小津とはまた別の地平で、日本のエンターテイメント映画をリードしたエクスプローラーなのだから。

# by miwameme | 2023-12-30 19:53 | 映画

ディズニー100年・小津120年、はたまた梅次・清順100年

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今年2023年はウォルト・ディズニー・プロダクション設立100周年だそうである。
創業はその前だし、ミッキーの誕生?は後だし。
果たして29年にミッキー生誕100周年を祝うのだろうか?はたまたミッキーの著作権は?
ウォルトとロイのディズニーはせいぜい50年代後半までだし、
周年行事もいまいち盛り上がっていないようで、こっちはそんなものだろう。
そういえば、この間銀座に行ったら、和光の時計の文字盤にミッキーがあしらわれていた。
ちなみにワーナーブラザーズも100周年だって。

感慨深いのは、12月12日に小津さんの生誕120年を迎えたことだ。
還暦の還暦で二周り、ということになる。as time goes by.ですね。
中井喜一がテレビに出ていて、テロップに62歳と記されていて、これまたそうかと。
不朽の名作って、小津さんのためにある言葉じゃないかと感嘆するばかり。
しかし、無い物ねだりとわかっていても、せめて後3本くらいは…と思わずにいられない。
東京オリンピックを挟んで、高度成長期のTVが右肩上がりで映画が右肩下がりの時に、
小津の魔法遣いは何を描いたのだろう。秋刀魚の味の次は大根と人参だが、
さらにその先のホームドラマの景色を見せてほしかった。
結局、大阪万博があって、行き着く先が2021東京オリンピック・2025大阪万博とすれば
この60年間、何の変わりもなかったに等しいのだから。

でまあ、梅次と清順とおまけでハチ公も1923年生まれ。
何かと商売絡みのイベントが組まれているようだが、梅次はもっと評価されて然るべきだと思う。
小津とはまた別の地平で、日本のエンターテイメント映画をリードしたエクスプローラーなのだから。

# by miwameme | 2023-12-30 19:53 | 映画

PS アマプラ配信終了?その1

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11月に入り、今後2週間で日活旧作70本ほどのアマプラ配信終了がアナウンスされた。契約が終わったか更新されなかったようで、今後の新規配信にも期待が持てなくなった。他サイトでの配信もあるが、アマプラほどSPを含めてマイナーな作品がカバーされるかどうか。ということで、観られる限りは観ておこうと。以下、見直して気づいたまま。

男の怒りをぶちまけろ/トニーのパートナーは当初ルリ子、まゆみちゃんは邪魔者一本で和田浩治へ?の不運ルリ子は拳銃無頼帖シリーズ二本とこの作品までで、霧笛のいずみさんを経て礼子へ。小百合はモノにならず?と、それはさておき、この一本だけの東京シックス・ビューティーズ、その一番手は間違いなくナオミだと改めて確認。実質的なデビュー作か。ルリ子のダンスも観られるし、娯楽アクションとして平均点以上の出来。

勝利者/タイトルクレジットはやはり三橋・南田・裕次郎・三枝の順。梅次三部作については、別にまとめようと思うが、ここではまだ裕次郎のキャラ設定に試行錯誤の感じ。いささかアンチヒーロー路線。重層的な構成はなかなかよくできている。三枝のバレエにダンス、裕次郎の拳闘、どちらも下手。三枝の白鳥の湖じゃ持たないから、白鳥の回想シーンにミュージカル/パリのアメリカ人とかアメリカミュージカルのパクリ。三枝はスタイルがいいので何とか持っていて、良く言えばシド・チャリシー。三枝と裕次郎のバランス、やはり悪い。三枝は演技も下手だし、役者としては南田洋子のほうが上。しかし、ボクサーが酒も煙草も女も…とは、いくら50年代でもねぇ。

鷲と鷹/日活アクションのプロトタイプ。三部作を通して、裕次郎は「ヤクザなタフガイで根は真面目」に位置づけられていて、石坂・具隆の好青年キャラに対する梅次のカウンターだろう。インサイダーとアウトサイダーとしても良く、アウトローまではみ出てはいない。女性は夢路とルリ子だけ。いかに船長の娘といえ、あのファッションは反則だが、そこもまたひとつの原型だし、夢路の大向こうを堂々と張っているルリ子17歳のキュートな演技には舌を巻く。裕次郎をスターにしたのは嵐だが、こっちのほうが作品としての完成度は高い。役者がみんないいし、ほぼ船上が舞台で人間模様が鮮やかに描かれているし。

さすらいの賭博師/鷲と鷹の後で観ると、ホント延長戦上にあると実感。後期に入りつつあるなか、このギャンブラーシリーズ第一作は、30代のアキラの新境地と言っていいだろう。

しあわせはどこに/他愛のないメロドラマと片づけてしまえばそれまでだが、いづみさんと山根寿子、そして珍しく葉山良二と二本柳寛も良くて、コロムビアローズの主題歌と相まって、何かいいのだ。敵役の宍戸錠と堀恭子、殿山泰司もアクセントにはなっている。

こころ/夏目漱石原作。太平洋ひとりぼっちは別にして、日活初期の市川崑三文芸作のひとつ。何か重たそうで未見だったが、配信終了になるので重い腰をあげたところ、意外に面白かった。急ぎで撮ったようだが、哲学的なテーマをミステリー仕立てにしてうまくまとめている。原作と時代がそうなのだろうが、先生と日置と梶、男三人の話に終始していて、お嬢さん、女性への配慮がまったくないのは疑問。新珠三千代の女学生、とても魅力的なのに。母親役の田村秋子もさすが。

投げたダイスが明日を呼ぶ/ギャンブラーシリーズは結局、渡り鳥シリーズの後釜にはならなかったということでしょう。

黒い賭博師 ダイスで殺せ/黒いシリーズになってコメディタッチを取り入れたところで、所詮は変わらず。まるで覚えていなくて、その程度の写真。ドタバタにしてもレベルは低い。

地獄の夜は真っ赤だぜ/これと「さすらい」と、サーカスものは二本で終了も無辺なるかな。舞台をサーカスにしただけで二番煎じ三番煎じ、新鮮味がないのだ。

早撃ち無頼 大平原の男/この辺り、ジョーは主演になった当初は、助演時代のキャラの延長で筋立てにも特徴がなく、一本立ちというにはまだ弱い。くたばれとか野獣とか、その辺から味が出てきた、というかアキラはあの手この手もいまひとつで、裕次郎はムードアクションに方向転換。ジョーのハードボイルド風新路線が浮かび上がったというところか。

東京の孤独/文句なし。個人的には、梅次の日活作品のベストワン。何といっても役者が過不足なく揃っている。若手の小林旭と年上のいづみさんのコンビが、ここでは釣り合っているし、同じく若手の宍戸錠と新人のまゆみちゃんの憎まれ役カウンターパートとの対比も効いている。何より大坂志郎と月岡夢路に安部徹の酸いも甘いもかみ分けつつ、肩肘張らずに人生の孤独に立ち向かう姿がいい。「フィクションの至芸、ここにあり」に尽きる。今や知る人は少ないが、志村正純と小西得郎の掛け合いも懐かしい。


# by miwameme | 2023-11-10 15:22 | 日本映画

アマプラひと区切り?

アマプラひと区切り?_d0359670_22360682.jpg

日活データベースによると、54年の戦後製作再開から71年にロマンポルノに移行するまで、おおよそ1,145本が製作・公開されている。一部、近江プロ・民藝映画社・石原プロなど外部製作の作品も含まれるが、中日映画社の「水で書かれた物語」を別にすれば、後は実質的に日活映画と見なして問題ないだろう。

202310月の現時点で、そのうち730本ほどがアマプラで配信されている。まだ全体の約3分の1に当たる410本ほどが未配信という計算になるが、全盛期のダイヤモンドライン・パールラインを含め、主立った作品はほぼ配信されているようだ。アマゾンとの契約内容、また日活サイドの配信方針が不明なうえ、今年の夏頃から新規配信の回数・本数が激減しつつあり、加えて70本ほどが10月一杯で配信終了と初めて告知されたこともあって、今後の配信がどうなるか、かなり不透明な状況である。

清順生誕100年とか、レンタルやセルでいけそうなのは外すとか、他サイトとの契約とか、推測するにいろいろな要素が絡んでいると思われるが、これまで3年あまり(たまたまコロナ禍に遭遇したのか、そこに狙いをつけたのかどうか)、主要な作品ばかりか、数々のSPを含めて、これほど網羅的に公開されているケースは他に類を見ない。それだけに新鮮な発見も多くて感謝感激!だし、この先も続けてほしいと願うばかりだが、まずはひと区切り?ということで、ざっくりまとめてみようと思う。

この3年あまりの間に僕が観たのは、730本ほどの配信作のうちの430本。選択基準として、監督は川島雄三、井上梅次、中平康、市川崑。唯一、同時代に観ていた今村昌平は、今となってはいささか重たい感じで、「果しなき欲望」と「豚と軍艦」に「西銀座駅前」あたりまで。俳優は裕次郎、アキラ、ジョー、トニーのダイヤモンドライン。いづみさん、ルリ子、まゆみちゃん、笹森礼子、中原早苗のパールライン。プラス北原三枝、月岡夢路、新珠三千代、森雅之、轟由起子…。バイプレイヤーでは、渡辺美佐子、吉行和子、高友子、小沢昭一、金子信雄、大坂志郎、そしてナオミ。和田浩治や二谷英明はオフラインだけれど、どうしても絡んでくるので。小百合は適当に。逆に積極的には観ない、というか、何か絡んでいない限り観ないのはグリーンライン。英樹は何本かで、侠ものはスルー。船木一夫と西郷輝彦、スパイダースほかの歌手路線はほとんど観ていないし、渡哲也、山内賢、和泉雅子、松原智恵子あたりもゾッとしませんね。いま思いつくのはその程度だが、まだ誰かいたっけ。そうそう初期の時代劇もあまり観ていないし、60年代後半、衰退期の作品も同様。要するに、全盛期を軸に前後を含めて目ぼしいものを、といったところだ。

で、配信終了になる前に見返したのが、次の7本。年のせいもあるのだろうが、びっくりするほど覚えていなくて、いい意味でも悪い意味でも発見があった。以下ざっくり

峠を渡る若い風/ほとんど記憶に残っていないのも無辺なるかな。観るべきところがないのだ。旅の奇術師一座の娘にまゆみちゃんはハマらないし、ストリッパーナオミも何だか投げやり。

探偵事務所23

 くたばれ悪党ども/何度観ても、よくできているの一語に尽きる。

 銭と女に弱い男/前回、大したことはないと感じていたが、再見して見直した。くたばれのシリーズ続編ではなく、テイストの異なるミステリアクションだと作品だと思えば、柳瀬観とジョーのコンビ、それなりに健闘している。ナオミがハマっていないし、笹森も出ているだけなのは、いただけないけれど。

野獣の青春/二度目になると、こっちのほうが大したことないなと、銭と女とは真逆の印象。凝っているぶん、ネタが分かってしまうと、却って面白みに欠けるのだ。

殺しの烙印/清順信者には傑作かもしれないが、ほぼ記憶から消えていたのも、さもありなん。まあ時代的にも、大和屋竺~具流八郎の色が濃いようで、前衛ぶってはいるものの、消化不良で難解なだけの感、強し。

誘惑/さすが中平康、モノローグの多用が鼻につかないどころか、いい効果を挙げている。再見して、渡辺美佐子の好演に目を見張った。

風船/誘惑もそうだが、まさしく佳作。ヒールの高野由美と三橋達也はステレオタイプだが、森雅之・いづみさん・新珠三千代の存在感のほうが上回っているし、三枝と二本柳と左幸子がアクセントになっていて、文芸映画の王道ですね。


# by miwameme | 2023-11-07 22:39 | 日本映画