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Duchamp du champ

新発見!「デュシャンはサイクリストだった」その6 Roue de bicyclette

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新発見!「デュシャンはサイクリストだった」その6 Roue de bicyclette_d0359670_16053803.jpg

当時と現在で多少の違いはあるものの、自転車(スポーツバイク)

車輪(ホイール)を簡単に着脱できる仕組みになっている。

ところがデュシャンのRoue de bicycletteは、“roue(車輪)”単体ではなく

前輪と車体のハンドルポスト(コラム)を結びつけるフォークが付いている。

通常、車輪を付けたまま、フォークを車体から外したりはしない。

ただ、前輪だけを単独で自由に回せるようにするには、

フォークを付けた状態で本体から切り離し、デュシャンがしたように

スツールなどの台座に据え付けるのが、合理的なやり方だろう。


しかし、しかしである。自転車の構造を熟知していなければ、

「フォーク付きの前輪をスツールに」という発想は出てこない。

それも、それもである。まだ自転車がそうポピュラーでなかった1910年代に

デュシャンはそこまでやってのけたのである。


だからデュシャンは、時代の先端を走るサイクリストだった。

そしてRoue de bicycletteは、レディメイド(既製品)ではなく

彼なりに手を加えたカスタムメイドに他ならない…ということになる。


ちなみに、Roue de bicycletteの復元品は、上の写真のとおり、

ストレートフォーク(真っ直ぐなタイプ)

ベントフォーク(前方にカーブしているタイプ)2種類があり、

(いい加減な)デュシャンはどちらも公認していることを付記しておこう。


by miwameme | 2019-02-24 16:09 | コンテンポラリー・ アート