閑話休題「時代はサーカスの象に乗って」
寺山修司の言葉だ。特別な思いのある人ではないけれど、
この科白は、うまいことを言うなと思った。
時代はサーカスの象に乗ってやってくる。
時代はサーカスの象に乗って動いている。
1963年から1968年、中学3年から浪人の1年まで、14歳から19歳
この5年間は、僕にとってまさにそういう時代だった。
『人間動物園』をきっかけにアニメーションへ。
今は亡きYKに導かれて黒澤映画へ、そして映画の世界へ。
同じく、もこもこさん(山中信夫)との交友からコンテンポラリーアートへ。
もう50年余のつきあいになる、良き仲間たちとの交友から
メルロ=ポンティ、ガストン・バシュラール、レイ・ブラッドベリ、
山口昌男、丸山圭三郎etc. etc.
『映画評論』『映画芸術』『美術手帖』
アニメーションは森卓也、ミュージカルとコメディは中原弓彦(小林信彦)、
忘れてはいけないスポーツの虫明亜呂無、
黒澤評論なら長部日出雄、裏目読み批評の小川徹、斉藤龍鳳、太田竜…
埴谷雄高は別格として、アンドレ・ブルトン、アントナン・アルトー、
ソシュールがいてトロツキーがいて
吉行淳之介に谷崎潤一郎、いやもっともっと多士済々。
日本映画は溝口、小津から黒木和雄へ、
洋画はルノワール、カルネからヌーヴェル・ヴァーグ
アニメーションはウィンザー・マッケイ、レン・ライ、フライシャー兄弟
テックス・アヴェリー、一応ディズニー兄弟にハンナ・バーベラ、ワーナー
思い起こせば、何とも密度の濃い年月だった。いやはや、すごい吸収力。
この時代に、僕はサーカスの象に乗った、というわけである。