ものはものであってものではない。
一般論として、「もの」とは形のあるもの=物体を指す。
フランス語ではchoseで、レディメイドの便器はただのchoseだが、
デュシャンがそれを「ただものではなくすること」で
fontaineはレディメイドのobjetへと昇華させた。
さらに、fontaineが暗喩している小水・噴水・湧き水、
air de Paris、大ガラス、遺作の水の流れ・出水を通して、
デュシャンは形のないもの=液体や気体をobjet化した。
ものはものであってものではない、という考え方を提起して
美術=絵画、彫刻=objet=固体、という常識を超越したのだ。
水や空気の流れが時間とともにあることを踏まえれば、
平面の絵画/二次元や立体の彫刻/三次元の世界を超えて
四次元の宇宙を表現してみせたと、そう言ってもいいだろう。
これはロトレリーフともつながるのだが、
アニメーションのもとのアネモス、アニマ、
動かないものを動かして生命を吹き込む表現ニ他ならないと、
僕の独りよがりの、好き勝手な分析なのである。
by miwameme
| 2020-09-15 15:54
| コンテンポラリー・ アート